一つ屋根の下に暮らす魔術師
財布が重い。
別に財布に欠陥があるわけではなく、
何が言いたいかというと、私はレジでの会計時に、
例えば、買い物をして、レジで1467円請求されたとする。
こうして、小銭入れに硬貨が7枚増えるわけだ。
最初から小銭入れに500円があれば1500円を出すが、
勿論、
467円ともなればかなり枚数になる。
こんな私とは対照的なのが嫁である。
例えば、二人でスーパーに出掛け、会計の為にレジに行って、
私は最早何も考えずに2000円を差し出す。
するとそこで嫁が言う。
「あ、細かいのあるよ」
そしておもむろに22円を出す。
私の思考は追い付かない!
だってどこにも22なんて数字表示されてないじゃん!?
さも当然のことのように振る舞う嫁と、
そして店員さんが笑顔とともにお釣りを渡してくる。
「555円のお返しでございます。」
(マジシャンがいる!)
お釣りは綺麗に3枚だけ。
(イリュージョンだ!)
いや、それどころか、
(
等とよく分からない例えに思考を巡らせつつ、
我ながら凄い嫁を貰ったものだ!
しかし、感嘆してばかりはいられない……
このままでは、
今日の仕事帰り。
嫁に敬意を表すため、ハーゲンダッツを買って帰ることにした。
しかし、只では会計は済まさない。
理論は分かっているつもりだ。要は、
「お会計587円になります。(ニコニコ」
レジのお姉さんがにこやかに挑戦状を叩きつけてくる。
(えーっと……一の位が7だから……)
(1繰り上がって……)
(…………)
しばしの沈黙の後、心の中で一つの答えを出した。
「PASMOで!」