努力と才能とアヒル
世の中に天才などいない。
私の様な凡人が天才と思っている人も、「才能」などという簡単な言葉では片付けられない程の「努力」
しかし、人はなかなかそれを認められないものなのかもしれない…
突然こんなことを言い出したのには理由がある。
それは先日嫁がこんなことを言い出したからだ。
「ねぇ、見て見てー、アヒル口!」
まるで出来ていなかった……
嫁は昔からアヒル口が出来ない。
自分では出来ていると思っているらしいが、客観的に見た場合、
「いや、出来てるっしょ?」
「いや、アヒルには見えないんだよなー……」
「えーそんなはずないのにー」
確かに、彼女が「アヒル口」と表す表情は、
実はこのことに関しては、
しかし、この時は少し状況が変わった。
「じゃあちょっと鏡見てくる!」
そう言うと嫁は大きな鏡を見るべく、洗面所に向かった。
おぉ、これで彼女も客観的に自分の「アヒル口」
静かに嫁の反応を待っていると、
「全っ然出来てないじゃん!ww」
彼女もやっと気付いたのである。
しかし、これは悲観することではない。かのソクラテスが「無知の知」を説いた様に、
「どうすれば綺麗なアヒル口になるかな?」
「とりあえず、もっと上唇を上げればいいんじゃないかな?」
「こうかな……? うーん、難しいな……」
先程までの自信はどこへやら、
板野友美も桐谷美玲も、
「もっと唇反らせた方がいいかな!?こうかな!?」
何より彼女も楽しそうであった。
結果が全てではない、
私もにこやかにその様子を見ていた。
彼女の上唇は、当初よりも遥かに角度が付いてきた。
そしていよいよ……
チンパンジーの様な表情が出来上がった……
「これはこれで凄くない!?」
嫁は満足げな顔で「反省するチンパンジーの図」を披露してくる。
主旨は変わったが、楽しそうなので良しと……