海賊と人生を見つめて
「似た者夫婦」という言葉がある。
元々似ている者同士が夫婦になるのか、
嫁が最近『CLANNAD』を見ている。
「何故今更?」と思ったが、何でも会社の上司に勧められ続け、
しかし、
そんな折り、私は会社で大先輩に一冊の文庫本を渡された。
「この間言ってたやつ、持ってきてあげたよ」
「……えっ!?」
思い返せば数日前、確かに私はその会話をした。
その方は最近よく本を読んでいるという話をされていた。
話題になっているタイトルであったので当然聞き覚えはあった。
「あ、評判いいですよね!」
「そう、面白いよ!」
と、簡単に内容を話してくださった。元々日本史は好きなので、
「じゃあ今度持ってきてあげるよー」
「いや、わざわざ悪いですよー」
そこでその日の会話は終わった。
そして上記の状況に繋がるわけである……
ここで私は悩む。と言うのも、
ここで安易に受け取ってしまっては、嫁の二の舞になってしまう。
何とか切り抜けよう!
「でも悪いですよ、だって今お読みになってるんですよね?」
「良いの良いの、今読んでるのは4巻だから1巻は大丈夫」
ここへ来て新情報である。
目の前に差し出された一冊は、
(どうする……)
(受け取るか……)
(断るべきか……)
「お借りしまーす!」
こうして、我々夫婦は揃って眠れぬ夜を過ごしている。